お役立ちコラム
相続した不動産を売却したい!売却の流れと必要な手続きをご紹介
実家や土地などの不動産を相続した場合、「遠方に住んでいる」「すでに空き家になっている」などの理由から「売却する」という選択肢を取る方もいらっしゃると思います。
相続した不動産を売却するには、通常の売却活動の前に必要な手続きを行わなければなりません。特に、空き家の増加が問題になっている昨今では、不動産の相続が適切に行われず空き家になるケースを防ぐため、国が法律や制度を設けたり、改正したり対策をしています。
今回の記事では、相続した不動産を売却する際の流れについて、直近の法改正も含めて解説します。
相続不動産を売却するまでの流れ
はじめに、相続した不動産を売却するまでの流れを解説します。相続の際は、故人との別れや各種手続き、親族との相談など心身ともに負担がかかることが多いと思います。そのような時に「相続した家を売却するにはいつ何をすれば良いか」を知ることで、スムーズな売却活動にお役立てください。
相続した不動産を売却するまでの大まかな流れは下記の通りです。
- 相続の発生
- 遺言書の有無を確認
- 相続登記(名義変更)
- 不動産業者へ依頼し、売却活動開始
それでは各手順について解説します。
1.相続の発生
被相続人の死亡によって、相続が発生します。
2.遺言書の有無を確認
遺言書の有無を確認します。
・遺言書がある場合:遺言書に従って遺産を分割します。
・遺言書がない場合:遺産分割協議を行います。
遺産分割協議
遺言書がない場合は、相続人同士で故人の財産をどのように分けるか話し合います。従来、遺産分割に期限の定めはありませんでした。しかし、民法の改正によって、2023年(令和5年)4月1日より分割期限の制限が設けられました。
原則として、相続の開始(被相続人の死亡)から10年を経過した後に行う遺産分割は、具体的相続分ではなく、法定相続分(又は指定相続分)によって行うと定められました。
具体的相続分とは、生前贈与や故人への療養看護等への貢献などを考慮した分割方法で、法定相続分とは、これらの事象を考慮せず画一的に分割する方法です。
例外として、2023年(令和5年)4月1日の時点で、すでに相続開始から5年を超過しているケースについては、2028年(令和10年)3月31日までの間は、具体的相続分による遺産分割をすることができる猶予期間が設けられています。また、10年経過後も、相続人全員が合意すれば、具体的相続分による遺産分割が可能です。
相続によるトラブルを避けるためにも、早めの遺産分割をおすすめします。
参考)法務省 不動産を相続した方へ ~相続登記・遺産分割を進めましょう~
3.相続登記(名義変更)
不動産を売却する場合、相続人が決まったら、被相続人(故人)から不動産の相続人へ相続登記(名義変更)を必ず行います。
2024年(令和6年)4月1日から、相続登記が義務化されました。相続したことを知った日から3年以内に必ず登記を行ってください。正当な理由なく違反した場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。
相続登記の流れは以下の通りです。
- 戸籍証明書の取得
- 登記申請書の作成
- 登記申請書を法務局へ提出
- 法務局から登記完了証・登記識別情報通知書の交付
相続登記は、相続人が単独(または共同)で申請するか、司法書士・弁護士に依頼して代理申請してもらうことができます。
参考)【法務省/相続登記の義務化】不動産を相続したらかならず相続登記!
参考)法務省民事局 令和6年4月版 登記手続きハンドブック
4.不動産業者へ依頼し、売却活動開始
相続登記が済んだ後の不動産売却の流れは、自身が所有している不動産を売却する場合と同じです。
1 | 売却価格の相場を調査 |
2 | 不動産会社を複数ピックアップ査定依頼 |
3 | 不動産会社と媒介契約を締結する |
4 | 不動産会社と売却戦略を立てる |
5 | 売却(販促)活動を行う |
6 | 購入希望者と条件交渉を行う |
7 | 買主と売買契約を締結 |
8 | 決済・引き渡し |
具体的な売却の流れはについては、「不動産売却の流れとは?必要書類や費用・注意点をわかりやすく解説」で詳しくご案内しているので、合わせてご覧ください。
相続登記(名義変更)で必要な書類と費用
前述した通り、不動産を相続した際には、相続登記が義務化されました。実際に相続登記を行う事になった場合、何が必要なのかをご紹介します。
※一般的な遺産分割協議の場合です。法定相続分の相続、遺言書がある場合は必要書類が一部異なります。
相続登記(名義変更)の際に必要な書類
相続登記の際は、下記の書類が必要となります。それぞれの書類は、各自治体で入手できます。
※取得金額は新潟市の場合のものを記載しています。手続きの際はお住まいの自治体に確認のうえ必要な金額をご用意ください。
被相続人のもの |
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法定相続人のもの |
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法定相続人のうち、
新しく所有者になる方のもの |
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相続登記(名義変更)の際に作成する書類
新しい所有者(相続人)が作成 |
※戸籍・除籍謄本(抄本)の原本の還付を希望しない場合は不要 ※代理人による申請の場合は、代理人の作成でも可 |
法定相続人が作成 |
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(代理人による申請の場合)
新しい所有者と代理人が作成 |
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相続登記(名義変更)にかかる主な費用
- 登録免許税:登記の際に国に納付する税金
→不動産の固定資産税評価額×税率(0.4~2%)で計算
- 各種証明書の取得費用:戸籍謄本・住民票の写しなど
- (依頼した場合)司法書士・弁護士に支払う報酬
参考)法務局 相続による所有権の登記の申請に必要な書類とその入手先等
参考)新潟市 窓口で請求できる各種証明等
参考)国税庁 No.7191 登録免許税の税額表
生前贈与加算期間(持ち戻し)が3年から7年に延長
令和5年度税制改正により、相続税法及び租税特別措置法の一部が改正されました。
生前贈与加算(持ち戻し)とは
生前贈与加算とは、相続税に関わるルールです。
まず相続税とは、相続が発生し、財産を受け取った場合にかかる税金のことです。
しかし、亡くなる前であれば自由に財産を処分できるため、生前に財産を贈与し、相続税を払わないようにするケースがあります。
このような財産に対して、相続税の課税対象にするため、亡くなる前の一定期間に贈与されたものは、相続財産として加算するルールがあります。これが「生前贈与加算(持ち戻し)」です。
暦年贈与におけるこの期間が、2024年(令和6年)1月1日より令和5年度税制改正によって、3年から7年に延長されました。ただし、延長された4年間に贈与により取得した財産の価額については、総額100万円まで加算されません。
節税対策として活用されていた生前贈与ですが、延長されたことにより相続税額が増加するケースもあるでしょう。
しかし、2022年(令和4年)の相続税の課税件数割合は9.6%、負担割合は13.5%です。相続税は基礎控除も大きいので、実際にかかる人は10人に1人程度です。とはいえ、2015年(平成27年)1月から基礎控除の水準が引き下げられているため、課税件数割合が改正前より大きくなっており、今後も税率構造の見直しが行われる可能性があります。
参考)国税庁 No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)
参考)財務省 相続税の改正に関する資料
実家の売却で使える特別控除
「空き家の発生を抑制するための特例措置」の延長・拡充
増加する空き家問題に対策するため、「空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除(空き家の発生を抑制するための特例措置)」が定められています。
この特例措置は、「相続日から起算して3年を経過する日の属する年の12月31日までに、被相続人の住まいを相続した相続人が、その家屋 又は敷地の譲渡にあたり一定の要件を満たした場合、その譲渡にかかる譲渡所得の金額から3,000万円(家屋と敷地のいずれも相続した相続人の数が3人以上の場合は2,000万円)を特別控除する。」というものです。
「令和5年度税制改正」にて、もともと2023年(令和5年)12月31日までとされていた適用期間が2027年(令和9年)12月31日まで4年延長されました。
また、2024年(令和6年)1月1日以降の譲渡では適用対象も拡充されました。これまでは、売主が工事を実施し、耐震改修工事または更地にした後譲渡した場合が対象でした。しかし、「譲渡後、翌年2月15日までに耐震改修工事又は取壊しを行った場合」も特例措置の対象に加わりました。
適用期間の延長と特例措置対象の拡充により、空き家を相続した場合も、この制度を使えば売主は売却がしやすくなります。
ニュータウンエステートでは、相続した空き家の買取も行っております。空き家買取実績のある弊社がサポートしますので、安心してお任せください。
参考)国土交通省 住宅:空き家の発生を抑制するための特例措置(空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除)
「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」
マイホーム(居住用財産)を売った際に、譲渡所得から最高3,000万円まで控除ができる特例です。相続した家に住んでおり、その不動産を売却した場合に受けることができる制度です。
特例の適用を受けるための主な条件は下記の通りです。
- 自分が住んでいる家を売却、または家とともに敷地や借地権を売却すること。(以前住んでいた家や敷地の場合は、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること)
- 家を取り壊した場合、以下の2つの要件すべてに当てはまること。
- 家を取り壊した日から1年以内に譲渡契約が締結され、かつ、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること。
- 家を取り壊してから譲渡契約締結日まで、その敷地を利用していないこと。
- 売った年の前年および前々年にこの特例(「被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例」によりこの特例の適用を受けている場合を除く。)、または「マイホームの譲渡損失についての損益通算及び繰越控除の特例」の適用を受けていないこと。
- 売った年、その前年および前々年にマイホームの買換えやマイホームの交換の特例の適用を受けていないこと。
- 売却した家や敷地が、「収用等の場合の特別控除」など他の特例の適用を受けていないこと。
- 災害によって滅失した家の場合は、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。
- 売手と買手が、親子や夫婦などの関係でないこと。
この特例の適用を受けることを目的として入居したと認められる家や、別荘として所有している土地は適用外となるため注意が必要です。あくまでも、マイホームとして居住している家を売却する際にに適用される特例です。
また、適用条件が複数あるため、自分が相続した家が対象となるか、必ず条件を確認してください。
「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」
「取得費加算の特例」とも呼ばれる制度です。この制度は、相続した家を規定の期間内に譲渡した場合に、相続税額のうち一定金額を譲渡資産の取得費に加算することができます。その結果、税負担を抑えられる仕組みです。
特例の適用を受けるための条件は下記の通りです。
- 相続や遺贈により取得したものであること。
- 財産を取得した人に、相続税が課税されていること。
- 相続した日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日まで(=3年10ヶ月以内)に譲渡していること。
この特例を受けると、譲渡所得税から一定の額を差し引くことができ、譲渡所得税を減らせるというメリットがあります。
参考)国税庁 No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
新潟の不動産売却・買取に関するご相談はニュータウンエステートへ
今回は、相続した不動産売却の流れと、不動産相続まわりで行われた法改正について解説しました。空き家の増加が問題視される中で、「相続がスムーズに行われなかった結果空き家が増える」ことを避けるため、国は法改正や制度の見直しを行いました。法律の厳格化や制度の拡充は、状況に合わせて今後も起こり得ると考えられます。いざ「家を相続する」となった時に、最新の情報を知って対応することが重要です。
ニュータウンエステートでは、不動産買取の際に当社スタッフだけでなく、行政書士や司法書士、弁護士といった税金・法律に関するプロも交えた少数精鋭のチームで解決しています。
不動産相続や空き家売却に不安がある場合も、各分野のプロが連携を取り、お客様を丁寧にサポートさせていただきますので、不動産売却を検討されている方はお気軽にご相談ください。
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