お役立ちコラム

不動産を売却したら確定申告!
タイミングや必要書類、手続きの手順を徹底ガイド

不動産売却時の確定申告を徹底ガイド

住宅やマンション、土地といった不動産を売却すると、その利益(売却益)が「譲渡所得」として課税の対象になります。

そのため、1年間の所得をとりまとめて税金を計算し、国(税務署)に収めるべき税額を報告する手続き「確定申告」が必要なケースがあります。

しかし、会社員などの給与所得者の場合は自身で確定申告をする必要がないため、あまり馴染みのない方もいるのではないでしょうか?

そこで今回は、不動産の売却時に行う確定申告について、詳しくご案内します。

「不動産を売却したら確定申告は絶対に必要?」「どんな書類を用意するの?」

そんな疑問に応える内容になっているので、ぜひ参考にしてください。

そもそも「確定申告」とは?

繰り返しになりますが、確定申告とは1年間の所得額と納税額を計算して申告し、税金を納める一連の手続きのことです。個人事業主やフリーランスの方が行う手続きだと思われがちですが、不動産所得があった人も制度の対象になります。

課税対象になるのは、不動産を売却して得た利益「譲渡所得」。誤解しがちですが、譲渡所得は不動産売却時に得た利益のことなので、単純に売却額の全額に課税されるわけではありません

譲渡所得の計算式は下記のとおりです。

◆譲渡所得 = 譲渡収入金額−(取得費 + 譲渡費用)

それぞれの項目について説明すると、取得費とは土地建物の購入代金と取得に要した費用を合計した金額から、建物の減価償却費を差し引いた金額のことをいいます。

また譲渡費用とは、不動産を売却するためにかかった費用のことをいい、不動産会社に支払う仲介手数料や測量費、売買契約書の印紙代といった諸経費の合計です。

上記の計算式に当てはめ、譲渡所得がマイナスになる(=損失が発生している)場合には課税されないため確定申告も不要となります。

なお、不動産の譲渡所得は、譲渡した年の1月1日時点で、その不動産を所有していた期間によって税率が異なるのが特徴です。5年を超える場合は「長期譲渡所得」、5年以下の場合は「短期譲渡所得」となります。

それぞれの税率は、下記のとおりです。

区分 所有期間 所得税 住民税
長期譲渡所得 5年超 15% 5%
短期譲渡所得 5年以下 30% 9%

※2037年まで、復興特別所得税(基準所得税額×2.1%)を所得税とは別に申告・納付する

※所有期間が10年を超えたマイホームの場合は、税率を軽減する特例があります。(下記の「居住用財産を売却した場合の軽減税率の特例」参照)

参考)土地や建物を売ったとき|国税庁

 

少しでも不動産売却によって利益が発生している場合には確定申告が必要になりますので、忘れずに手続きを行いましょう。

確定申告をしないと、税金の滞納と見なされ、延滞税や加算税が発生するケースがあります。

確定申告に向けて必要書類をそろえましょう

譲渡所得が発生している場合は、確定申告の準備を進めましょう。

確定申告の期間は、毎年2月16日〜3月15日に定められています。

書類を用意する中で不明点が発生する場合もあるので、申請期日が迫る時期に動き始めるのではなく余裕を持って準備を進めましょう

不動産を売却した場合の確定申告には、主に下記の書類が必要です。

  1. 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)
  2. 申告書第一表・第二表
  3. 申告書第三表(分離課税用)
  4. 【不動産売却時の書類】売買契約書のコピー
  5. 【不動産売却時の書類】譲渡費用(仲介手数料など)の領収書コピー
  6. 【不動産取得時の書類】売買契約書のコピー
  7. 【不動産取得時の書類】取得費用の領収書コピー
  8. 土地の登記事項証明書
  9. 本人確認書類(マイナンバーカードや運転免許証)
  10. 源泉徴収票(給与所得者の場合)

ここからは、それぞれの書類について、内容や入手場所などを説明していきます。

①譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)

上記で説明した譲渡所得の内訳を記載する書類です。

物件所在地や売買契約日、買主の所在地・氏名といった情報を正しく記載する必要があります。

不動産売却でかかった費用を記載する譲渡費用の項目は、何が必要経費として見なされるか曖昧なケースもあるので、迷った場合には不動産会社の担当者に相談するとよいでしょう。

②申告書第一表・第二表

従来は、確定申告書A,Bに分けられていましたが、2023年からは「確定申告書」に統一されました。

申告書の記載例は国税庁のホームページで解説されているので、項目に沿って漏れのないように必要事項を記載しましょう。

また、 国税庁ホームページの確定申告書等作成コーナーでは、画面の案内に沿って金額等を入力することで、申告書等の作成ができます。

③申告書第三表(分離課税用)

確定申告書の第三表は、土地や建物の譲渡、株式の譲渡など、申告分離課税の対象となる所得がある場合に必要な書類です。

①〜③の書類は、税務署の窓口で入手するか国税庁のホームページからダウンロードすることができます。

④【不動産売却時の書類】売買契約書のコピー

売却した不動産に関する書類です。正確な売却額を証明できる書類を用意しましょう。

⑤【不動産売却時の書類】譲渡費用(仲介手数料など)の領収書コピー

こちらも売却した不動産に関する書類です。仲介手数料や測量費といった売却する時にかかった経費がわかる書類をそろえておきましょう。

⑥【不動産取得時の書類】売買契約書のコピー

こちらは売却した不動産を取得(=購入)したときの金額がわかる書類です。譲渡所得を正確に計算するために必要な書類となります。

⑦【不動産取得時の書類】取得費用の領収書コピー

⑥と同じく、売却した不動産を取得した時に関する書類です。取得時にかかった費用を証明できる書類を用意しましょう。

⑧土地の登記事項証明書

土地・建物・マンションといった不動産所有者の住所や氏名などが記載された証明書です。法務局で誰でも取得することができるので、譲渡した不動産の証明書を用意しましょう。法務局の窓口のほか、オンラインで請求することもできます。

参考)登記事項証明書等の請求にはオンラインでの手続が便利です | 法務局

⑨本人確認書類(マイナンバーカードや運転免許証)

不動産売却時以外の確定申告でも必要な書類です。申告者本人であることを証明するための本人確認書類を用意しましょう。

マイナンバーカードがある場合は、表面と裏面の写しを確定申告書に添付します。

マイナンバーカードがない場合は、番号確認書類(通知カードや個人番号が記載された住民票などのコピー)と身元確認書類(運転免許証、健康保険証、パスポートなどのコピー)の2種類を添付しましょう。

⑩源泉徴収票(給与所得者の場合)

所得税を申告するためには、所得の根拠となる収入額を証明する書類が必要となります。会社員の場合には、給与収入や給与所得の額がわかる源泉徴収票を準備しておきましょう。

確定申告を行いましょう

必要な書類の準備ができたら、確定申告の手続きを進めます。

書類の提出は、下記3つの方法で行うことができます。

  1. 所轄の税務署に郵送する
  2. 所轄の税務署へ持参する
  3. 国税電子申告・納税システム(e-Tax)で申告する

確定申告の時期の税務署は混みあう傾向があるので、書類作成に不安がない場合は、郵送もしくはe-Taxでの提出がおすすめです。

ただし、e-Taxは利用前に事前準備が必要です。

「マイナンバーカード方式」または「ID・パスワード方式」で利用者識別番号を取得が求められますが、「ID・パスワード方式」の場合は事前に税務署に行き本人確認を行う必要があります。そのため、マイナンバーカードを持っていない方で税務署に赴かずに申請したい方は、事前にマイナンバーカードを用意するか、郵送での申請も検討しましょう。

参考)ご利用の流れ | 【e-Tax】国税電子申告・納税システム(イータックス)

 

また、手続きに不安があったり、忙しくて準備ができない場合には確定申告の手続きを税理士の方に任せるのもおすすめです。依頼する場合の費用相場は5〜10万円ほどですが、細かい計算や軽減税率が適用される条件にもしっかりと対応してくれるので安心です。特に売却益が高額な場合には、税理士の方に依頼するのがよいでしょう。

納税額が確定したら同年の3月15日までに納付し、手続きは完了となります。

不動産売却時の確定申告の注意点は?

不動産を売却した際の確定申告で気を付ける点として、特別控除があります。

控除を受けることができれば、税負担を抑えることができるのです。マイホームの売却時に受けられる特例として代表的な2つをご紹介します。利用できるものがあるか、確定申告前に確認してみましょう。

居住用財産を譲渡した場合の3,000万円控除の特例

マイホーム(居住用財産)を売った際に、譲渡所得から最高3,000万円まで控除ができる特例です。この特例は、不動産の所有期間の長さに関係なく受けることができます。

※譲渡所得が3,000万円に満たない場合は、譲渡所得の金額が特別控除額の限度となります。

下記は、特例の適用を受けるための主な要件の一部です。

  • 住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること。
  • 売却した不動産が、収用等の場合の特別控除など他の特例の適用を受けていないこと。
  • 親子や夫婦などの「特別な関係の人」に売却していないこと。

他にも細かな要件があるため、詳細は国税庁ホームページNo.3302「マイホームを売ったときの特例」にてご確認ください。

居住用財産を売却した場合の軽減税率の特例

売却したマイホームの所有期間が10年を超えている場合は、軽減税率を適用できます。

軽減税率とは、税額を通常の場合よりも低い税率で計算することです。

この特例は、上記の「3,000万円の特別控除の特例」と併せて受けることができます。

税率の計算方式は以下のとおりです。

課税長期譲渡所得金額 所得税 住民税
6,000万円までの部分 10% 4%
6,000万円を超える部分 15% 5%

※2037年まで、復興特別所得税(基準所得税額×2.1%)を所得税とは別に申告・納付する

 

下記は、特例の適用を受けるための主な要件の一部です。

  • 住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること。
  • 売った年の1月1日において売った家屋や敷地の所有期間がともに10年を超えていること。
  • 親子や夫婦などの「特別な関係の人」に売却していないこと。

他にも細かな要件があるため、詳細は国税庁ホームページNo.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例にてご確認ください。

また、この特例を受ける場合、確定申告の際に「登記事項証明書」の提出が求められます。

参考)土地や建物を売ったとき|国税庁

 

不動産の売却時には、このように活用できる特例がいくつかあるので、詳しくは不動産会社の担当者に相談しましょう。売却した不動産の条件に合わせて、適用できる特例を案内してくれるはずです。

特例が適用される場合の確定申告では、上で紹介した必要書類に加えて特例を受けるための書類が別途必要な場合もありますので、こちらも早めに確認するようにしましょう。

新潟の不動産売却に関するご相談は、ニュータウンエステートへ

今回は、不動産を売却した後に行う確定申告について詳しく解説しました。書類の用意や適用される特例の判別などは慣れていないと複雑に感じますが、余裕を持ったスケジュールで手続きを終わらせましょう。

新潟市東区に拠点を構えるニュータウンエステートでは、新潟市内を中心に幅広い不動産の売買を手掛けております。不動産売却にまつわる各種手続きのアフターフォローにも対応しているので、不動産売却を考えている方は、お気軽にご相談ください。

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